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季節が前に進んだ香りがする。
土と泥の、雨の匂い。
気がつけば、ジメジメとした湿気に嫌気がさす6月の梅雨の季節がもうすぐそこのところにまで来ている。
あまりにも早すぎて信じられない。
スーパーには、瓶に詰まった「小梅」も売っている。
私はしないけれど、もう人々が「梅仕事」をする季節が巡ってきているようだ。
時間の進み方に納得がいっている?
今の自分はこの質問に対して「イエス」と言える。
2年前の今頃とか、調子を悪くしてしまっている時期だとかは100%この質問にはノート答えていた。
というか時間の進み方に違和感を覚えている時ほど、
心のバランスが崩れてそれに伴って、体が動かなくなってしまうのだ。
でもいまは、もちろんこの状況下でやりたいこと100%をやり抜けているわけではないけれど、日々を丁寧に生きながら、自分がどんな思いでこの仕事に向き合っているのかというところにきちっとした自覚を持って、毎日を生きることができている。
お店のお仕事も、英語のお仕事も、家の中の小さな家事も、人との関わりにおいても。
今週を生き抜く上で、大きかった出来事は、初めてお菓子の詰め合わせ箱を作って大切な友達に受け取ってもらったこと。
4月の終わりに本当は販売のイベントをする予定だったけれど、この状況で実施ができず
さらに世の中の人々が楽しそうに「おうち時間」でお菓子を焼く姿を多く見るようになった。
私がお菓子を焼く意味ってなんなんだっけ
シンプルにこういう疑問に襲われてしまったのだ。
あ、もしかして私普段からお菓子を焼く時間があるだけで
別に他の人だって時間さえ与えられれば、お菓子を焼くのか・・・。
みんながやっていること、やりたくないなという天邪鬼気質も見事に働いてくれてお菓子を焼きたいという気持ちがすっかりと薄れてしまっていたことがあった。
そんな時に
お菓子を焼く様子を配信する楽しい企画にお招きしてくれた希や
いつもくだらない話をたくさーん聞いてくれて、焼いてほしいななんていう声をかけてくれる真麻、
最近節目のたびにお店にわざわざ足を運んでくれて、お店のことも私のこともたくさん応援をしてくれるはるちゃん、
そして、数少ない飲食・接客のお仕事への情熱を語り合える寧々ちゃん
彼女たちのおかげで、また焼きたい、焼かなきゃ!と思えるように心を立て直すことができた。
自分以外の人だって美味しいケーキを焼けるけど、でも自分の気持ちをきちっと形として表現できる私にとって唯一の手段がお菓子を焼くこと。だから私はお菓子を焼きたいんだ。感謝の気持ちをあわらしたいんだ、と自粛期間の終わり側にはなってしまったけれど、やっとスイッチが入った。
本当に自己満足の企画と行動だったけれども、その自己満足ゲージの中ではなかなかいい点数をつけたい結果になった気がする。
いつかこれをきちっと仕事として、もっともっと多くの人に楽しさと癒しの気持ちを与えられるようになれたら嬉しい。
送ってみて、そういうふうに改めて自分の目標を確認することもできた。
そしてお店での勤務もなかなか胸がいっぱいになってしまうものだった。
お店の外での作業のお仕事をしている時間も多かったから、近所のかたが通りがかるたびに声をかけてくださったり
配送作業中にいつもご予約してご来店くださる方のお名前を見かけて、ああ支えていただいているんだなと強く実感したり。
さらには、物凄い頻度で、しかもものすごくたくさんの量のお菓子を買ってくださる常連のとっても大切なお客様がご来店くださって、久しぶりにゆっくりとお話する時間があった。
とても心が安らぐ時間だったし、
それ以上に、こういった素敵なお客様に信頼し続けていただけるお店を作り上げているオーナーへの敬意もまた再び強まった。
こうやって素敵な客様を強い力で惹きつけているオーナー。果たしてこれは、自分にいつかできることなのだろうか。
答えはもちろんわからないけれど、とにかくやってみるまでは答えができるわけがないのも当然のこと。
どんな時代でどんな環境であっても成立する方法を考えないといけない。このコロナではそう言った重要な気づきを与えてもらえたし、
自分がいかに素敵な環境で仕事をさせてもらえてるか、改めて強く思い知らされた。
コロナのこの期間を決して、無駄にしたくないなとベタなことだけれどそう思う。
形式上は、緊急事態宣言が解除されたけど、きっといろいろなことには引き続き用心しながら暮らしていかなければならない。
嫌な話だけれど、季節が移れば、再流行って言うことだって大いにあり得ること。いや、季節が移ろわなくたって、これまでの警戒心が溶けて人々の行動がガラッと変わって仕舞えばまたすぐに流行がぶり返してしまうかも。
ひとまず、宣言が解除されたということで、
用心しながら、家でできることをした自分にまず小さなお疲れさまと
たくさん守ってくれた家族と
電波を通じてではあるけれど、明るい気持ちにさせてくれた友達に改めて感謝をして
そして最前線で怖い思いをしながら動いてくれていた医療関係の方や日用品店や配達関連のお仕事など、この状況でも外にでて使命を果たしてくれていた全ての方々に、心からお礼の気持ちを伝えたい。
6月からはまた、もっと前に進んだり
自分の中で何か変化や行動を起こせたり
緊急事態宣言が解除されたのだから、
もう何の言い訳もせずに
もっと充実した毎日にしていくことができたらいいな。
対して中身のないことなのに、また長々と書いてしまったよ。。
最後に
今読んでいる本「思いわずらうことなく愉しく生きよ」江國香織著
三姉妹、麻子、治子、育子
全然違う3人なのに、
あら不思議。
私はその3人のどれでもある。
不思議だけど、私の中に3人とも存在している。
自分の中の愛とか恋とかについてごちゃごちゃと思いを巡らせながら読む愉しい時間。
窓をあけて耳に入ってくる雨の音が最高に心地がいい。